「フォントについて参加者同士でオープンに意見を交換しよう!」という、楽しげなタイポグラフィセミナーのTypetalksに行ってきました。
講演された方は有名なフォントブログを運営されているヤマダコウスケさん、欧文組版についての詳細な本を書かれている高岡昌生さん、ドイツにおられる小林章さんがSkypeビデオでの参加でした。ドイツとの距離感を全く感じず便利でありがたい時代だなぁとしみじみ。
本題の講演内容についてでしたが、主にヤマダさんがWebデザインの観点からWebにおけるタイポグラフィについてテクニカルな部分を中心に語られていて、そこに高岡さんと小林さんが気になった事を掘り下げていく感じでした。
その中でも印象的だったのがヤマダさんがグラフィックデザイナーやクライアントとWebの仕事をする時に、文字の扱いに対して認識のズレが結構あるようで、その苦労話が印象的でした。
紙のデザインであたりまえにできることができなかったり、グラフィックデザイナーの作るWebサイトは総じてWebデザインのお作法をわきまえていないなどの話があったり、自分もWebデザインについて色々と勉強中で、違いの部分がイマイチ整理できていなかった部分があったので、それをまとめてみることにしました。
1.フォント
グラフィックデザイナーが無数にあるフォントのなかから自由に選ぶのに対して、Webデザイナーは効率さを重視し、文字を画像化するのを好まないため、選びたくても選べない。欧文であればWin&Macに入っている共通のフォントをCSSで使用する事で質の高いフォントを使用する事が可能だが、数えるくらいしか無いのが現状。
2.字間
紙媒体のデザインはコンマ何ミリの世界でこだわりますが、Webの場合だとCSSで字間を設定しても、IllustratorやPhotoshopで文字詰めするように、緻密に設定できないのでこだわりようがない。スクリプトで使用可能ですが、技術的に少しハードルがあがってしまうのが難点。
3.行間
グラフィックデザイナーは行間について気を使うのは当然ですが、紙媒体の場合はスペースに限りがあるのでゆったり組めないことが多い。
反面、Webデザインでは現状の多くのWebサイトを見れば分かる様に、スペースがあるにもかかわらず配慮されていないことが多い。
行間についてはWebの方が自由度が高そうに思えますが、これまた閲覧環境によってフォントも変わるので最適な行間を導き出しにくいのが難点。
4.単語間
グラフィックデザイナーは字間と同じ様に細かく調整するのに対して、Webデザインでは調整は可能ですが、閲覧者の環境によっては意図した表示とズレでしまう可能性があるのでリスクが高い。
5.段落
グラフィクデザイナーは本文などは基本的に箱組を好みますが、Webデザインで箱組にしすると行末が綺麗にいかなかったり、欧文などが多く混ざっていると意図しない表示になる可能性があってリスクが高い。
この現象は紙のデザインにおいてもよく発生し、その都度細かい調節で回避可能ですが、Webの場合はブラウザによって解釈が変わるので、調整に難点があるそうです。
まとめ
グラフィックデザイナーは感覚的にイメージしているものを極力定着させた形で見せるのを重視するのに対して、Webデザイナーは効率性を重視し、合理的なデザインを重視されることが多いようです。
基本的に、文字の組み方は複数の要素を相対的に調整して美しく読みやすくしていくものであるため、その要素をすべて微調整できないWebデザインでは妥協せざるをえない部分が多いようです。こうしてみるとグラフィックデザイナーがワガママをいっているようにも…。
同じ平面のデザインでも、互いの常識は常識では無いということ。
二つのデザインを隔てる意識の壁を取り払って、一貫した良いコミュニケーションを生み出すために、お互いに歩み寄り、最適解を探す事が大切なのだと感じます。
まだまだ知識不足なので「ココの部分は解決できる方法があるよ!」などがありましたらTwitter、コメント欄で教えていただけるとありがたいです!
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