Google / Samsung introduce Android 4.0 Ice Cream Sandwich |
今回のバージョンアップではフォントに力を入れて来ているそうで、発表時にも大きく扱われていました。
GoogleでAndroidのデザインを担当するMatias Duarte氏によると、新しいフォントRobotoは「わかりやすくて親しみやすく、Androidを魅力的にし、もう少し人間らしくするものでなければならなかった」ということを出発点に作られたそうです。
インターフェイスの根幹を成すフォントに、これまでにない力の入れようを感じるわけですが、よくよく見てみると、ところどころ違和感をデザインになっていて、それが独特の変な味を醸し出している印象を受けました。
その違和感とは何か、他の様々なフォントと比較して、その「変な味」の理由を考えてみることで、モヤモヤした感覚をスッキリさせてみたいと思います。
変な味その1:雰囲気
Robotoは「人間らしさを追求したフォント」だそうですが、筆記体の風合いを持つヒューマニストスタイルと、Helveticaのようなネオグロテスクスタイルが混在していて、なんともバラバラなテイストになっています。
読みやすさを重視するために色々なフォントの良い所を取り入れていったそうですが、美味しい物だけを集めて並べてもそれぞれが主張してしまってなんだか分からない料理になるよりは、フルコース料理のように全体で見たときにバランスのとれている方が読んでいて心地よいのではないでしょうか。
変な味その2:エレメント
Droid Sansではすべてのエレメントが統一されていましたが、Robotoではそれぞれ違うデザインが施されています。
この理由について、RobotoのフォントデザイナーChristian Robertsonによると、Helveticaのように閉じた「a」や「s」などが、文章として並んだときにリズムを生み出し、美しく読みやすいデザインになることから、それらをアレンジしたデザインにしたそうです。
これは賛否両論ありそうですが、考え方の指標として、GeorgiaやVerdanaの作者で有名なMatthew Carter氏の「読者の書体認知について」の言葉が参考になります。
私の存在を知られたくない、新聞や雑誌の読者が書体を意識したとしたら、それは問題があるということだ。読者のそんな反応はごめんだよ。つまり、フォントは情報を伝えるための器であり、器と食材がバランスを取り合ってこそ料理が美しく見えるように、文字それぞれが主張してしまっていると、本来の目的である情報を読み取る行為への妨げになるのではないでしょうか。
『ヘルベチカ -世界を魅了する書体-』
変な味その3:幾何学
Robotoのコンセプトは、側面がまっすぐな大文字や、陸上競技トラックのような独特の丸みを帯びたイメージで、機械的な骨格を持ちながらも、幾何学的な曲線をうまく組み合わせることで明るい雰囲気をもったデザインを目指しているそうです。
しかし、代表的なフォントであるFutura、DINなどと比較をしてみると、円の幅や中心点がバラバラでやや複雑な構造になっています。
見た目のアンバランスさを食感で例えると、Frutura、DINがサクッとかみ切れそうなのに対して、Robotoはグニャッとしていて、うまくかみ切れない様な感じがします。
幾何学をベースにつくられたフォントはその背景にある構造がシンプルで合理的だからこそ美しく見えるのであって、それらがうまく構成されていないとコンセプトの良さが活きないのでは無いかと思います。
さて、一人のデザイナーとして、感じたことをまとめてみましたが、 食べ物にも慣れがあるように、フォントも実際に使っていけば自然と愛着が出てきて良く見えてくるのかもしれません。
Ice Cream Sandwichはオイシイのかマズいのか…。
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