Tuesday, April 3, 2012

グラフィックデザイナーとしての5年間で学び、これからも大切にしたいこと。

朝、通勤をしていると新社会人の初々しい姿をみて、自分が新米デザイナーだった頃をふと思い出しました。

新人デザイナーとしてスタートした時、その先に待ち受けるデザインへにワクワクしながらも、自らの力はどれだけ通用するのか、デザイナーとしてきちんとやっていけるのか、不安と希望が入り交じっていてとても緊張していたのを覚えています。

さて、たくさんの人が新しいスタートを切る中で、私自身も5年間勤めた制作会社を退職し、この春から、スタートアップで新しいサービスのデザインをさせていただく事になりました。

そこで、新たなスタートを切るにあたって、これまでを振り返り、グラフィックデザイナーとしての5年間で学び、これからも大切にして行きたいと思うことを記しておこうと思います。

自分自身にとっては初心に返る意味も込めつつ、新米デザイナーの方には、これからのデザイナーとして経験を積んで行く上で、何かの肥やしになれば幸いです。


無駄なことなんて一つも無い
新人の頃は、とにかくデザイン以外の雑用を任される事が多いです。資料さがしや電話番、朝イチでの掃除などなど… 
「デザイナーとして入ったのにいつになったらデザインをまかされるんだろう」と多くの人が最初にぶつかる壁であろうと思います。
ただ、それらを振り返ってみると、それらの雑用すべてが良いデザインをつくることにつながっていたのだと思います。
資料探しは、部屋を覆い尽くすほどの膨大な雑誌や画像の中から、最適な資料を取捨選択する「判断力」を。
朝の掃除では、ゴミ箱から溢れるほどの先輩達が徹夜して作ったカンプを見ながらそのプロセスを追う「思考力」を。
任された仕事に意味が無かったら意味を見いだすこと。デザイナーの仕事の本質は意味を創造することだと思うからです。


デザインだけでは丸腰である
さて、いざデザインを任されるようになってくると、学生の時に課題としてやっていたデザインとは大きく違うことに気付きます。
仕事としてのデザインは、多くの人が関わってくるもので、それらの人々すべての質問や要望を聞いて調整していかなければなりません。
それらすべてを受け入れてしまうと結局何が言いたいのか良く分からないデザインになってしまいがちで、理由なきデザインは、丸腰のまま戦地に放り出されたかのように、要望と質問の矢にさらされます。
そこで有効なのは、なぜその書体にしたのか、なぜその色にしたのかといった様な理由を徹底的に考える、デザインロジックの盾を常に持っておくことです。
ただしそれ以上に大事なのは、デザインロジックはあくまで無茶な要望や、一部分しか見ていないような指摘からデザインを守る為の「防具」であり「武器」ではないということ。
制作者が良いと主張して押し通すようなものより、誰もが見て良いと思える様なものが理想的なデザインだと思うからです。


360度の視野を持ち続ける事
ある程度仕事をこなせるようになってくると、忙しさにかまけてインプットをつい怠りがちになります。
そんな状態が続くと、アイデアが枯渇し、あまり深く考えずに過去の経験則だけでデザインをするようになって、新しいものを生み出すことが難しくなってしまいます。
わざわざインプットを意識しなくても、ネットにつながっていれば情報は事足りると考えがちですが、そこにある情報は最早誰もが手に入れることの出来る情報です。
大事なのは自分の足を使って、デザインが実際に使われるであろう現場に行ったり、人を観察したりして何気なく街をフラフラしてみること。
そうすることで、Macの前に延々と座って考えていた時とは180度予想もしなかったアイデアに巡りあうことができます。
常にインプットを忘れずに、カメレオンの様に360度の視野を持った日常の観察者であること。
普段は誰も気にかけない様なところにこそ、デザインのヒントがたくさん潜んでいると思います。


色々と経験してきたなかで、一貫して思うのは、デザインが人と社会の交差点にある以上、世の中の流れを洞察したり、変化に合わせて新しいスキルや視点を身につける事は必要不可欠だということです。
そういった点では、デザイナーが学ぶ事を止めたとき、それは成長が止まることと同義でもあると思います。


「学びつづける」ということについて、先日行ったフォーラムで、とても印象に残る場面を目にしました。
業界では誰もが知るような有名な方が、他の方の話を聞いている時はその内容を一心不乱にメモをされていて、いつもニコニコしてユニークな質問や発言をして会場をわかせていてる陽気なイメージと、真剣な表情でメモをとる姿とのギャップがとても印象的でした。

何十年と知識や経験を積み、どれほど有名になろうとも人から真剣に学ぶということ。
その姿勢を目の当たりにして、自分のデザイナーとしての数年間はなんとちっぽけだろうか、まだまだ足りてないなぁと、凝り固まった価値観が一気に引っくり返されたような感じでした。

初心を忘れず、今まで自分を育ててくれた会社の人たちや、すべての人に感謝しつつ、より良いデザインを生み出せるよう頑張って行きたいと思います。

と、いうことで、みなさま!
新年度、気持ち新たに頑張って行きましょう!



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